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「…………はあ」
結局、ため息を吐かされんのは、いつだって俺の方。
敵わんわ。
取り敢えず、目を伏せて。
「心配すんな。何の問題もありゃしねえよ。あえて言や、これから俺が貧血かなんかで倒れる事が頻繁に有るかもしんねえが……それも、気にしねえでいい。寝てりゃ治る。お前は気ぃ張ったりしねえで、好きなだけ、やりたいように…………エリシアでも可愛がっとけ」
すっとぼけるのはやめて、素直に答えた。
裏投げとかされたくないんで。……恐々。
「ん……。そっか。……そっか」
藍は頷きながら、俺の脇の下から腕を通して、何度も後頭部を撫で上げて来た。
若干身長差が有る分ほとんど首の根、襟足の部分をさすられてたけどな。
「辛い?」
「……別に」
「大変?」
「……ちょっとな」
「一緒に居るよ。いつだって、一緒だ。私達は家族だから。助け合ってこその――――家族だから」
そうして腕をほどかれ、今度こそ俺は密着状態から解放される。
どんな顔してんのかと思やぁ……だらしのない顔で笑う藍。
「りょーうかいっ。不安は不安で不安でしかたがないけど、私が関わらない方が、都合が良いっぽいね。……そんじゃあ。私は遠慮なく、えっへへへ可愛がっちゃおうっかなぁーウフフフ!」
……普通に、何らいつも通りの。
俺の姉。
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