三、不可能避

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「アラ、居たの。タツシ」 俺の姿を認めると、すまし顔に。可愛げのねえ。 「まあ俺の家だからな」 「それならしょうがないわね」 繰り返していた謎の行動は取り止めにしてエリシアが立ち上がる。 何してたのか。俺が投げかけた質問に答える気はないとばかりに、ウェアの裾を、丁寧に直した。 「床は取れたのかしら?」 「ああ問題ねえよ」 「結構。…………ふぁふ」 上品に手を添えてあくび。 元から陽が昇る頃に床に着く生き物なのか。ただ疲れてるだけか。 コイツが睡眠を必要としてんのはいい事だな。 流石に眠ってる時は無害だろから。 「さっさと寝ちまえ」 「え? だから、だったらボサッとしてないで、連れていってちょうだい」 「俺は挽き肉混ぜてそれからだ。寝んのは」 眠気を押して降りてきたからには藍に与えるエサもとい食事の用意くらいはしていく。 そう何度も往復してらんねえよ。 「私は今眠いのよ」 「奇遇だな俺もだよ」 偉そうなふくれっ面を尻目に、居間の隣、台所へ移動。 エスコートする気が俺に無いとわかると、エリシアは何も言わず後を付いてきた。
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