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「……そっちがついでだっつうなら、優先しなきゃなんねえ目的があったんだろ? 自分で蒸し返すのもアレだが…………いいのかよ」
後々こじれさせないための最後の念押しのつもりで、今度はその場しのぎでもなんでもなく俺は確認する。しとかなきゃならないんだろう。
「このままこの町に居て、いいんだな」
「ええ。いいわ。私の目的。そう急がなきゃいけないものじゃないんだしね」
エリシアはあっさりと答えた。何を今更、といった感じだ。
そしてクスクスと耳元で笑う。
「だからタツシとの一年の契約はちゃんと守るわ」
「なら…………いい」
軽快なその言葉と笑みで、よしとしておく。ひとまずは。
何考えてんだかわからねえのは、多分お互い様だ。
――――『一年の契約』。俺を下僕にするかわりに、今年いっぱい、この街を離れない。
襲来したコイツに俺が示した唯一の自己主張であり、それはどうあっても譲れない俺のルールだった。
遵守すべき約束だった。
あわよくばと、他に追加で提示してみた条件まで、エリシアは全て受け入れている。
・・・・・・
死に損なった結果として勝ち取ったコレらは、本来有無を言わせずに従わせられるはずの俺にとってそれこそ破格の好条件だ。
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