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『でな、中丸先輩の幼馴染みの上田先輩って人が居てな。凄い美形で、みんなのマドンナやってんよ~』
『へぇ…、そんな人が居たんですか?一度、見てみたかったな…』
『あっ、亮ちゃんなら…写真持ってるんやない?上田先輩と、よく一緒に居ったし…仲良かったんやろ?』
ビクッ
上田先輩と言う言葉に、今度は錦戸先輩の身体が強張る
『亮ちゃん?』
『あ、あぁ…写真な…あるで…』
錦戸先輩は、学ランのポケットから財布を出して…
中から、一枚の写真を取り出した
そこには、3人写っていた
1人は、鼻が特徴的な……いかにも人が良さそうな人
もう1人は、女の子と見まがう程の美形で…
これが、上田先輩なんだろう
色白の肌
クリッとした、大きな瞳
プックリした、唇
長めで、フワフワな髪
制服を着てなかったら、絶対に女の子と間違えてしまうだろう
『…えっ…』
ふと、写真の錦戸先輩を見ると…
視線は、上田先輩に向けられていて
見た事のない、愛しいものを見る瞳に…
胸が、苦しくなった
気付きたくなかった
俺は、錦戸先輩が好きなのに…
錦戸先輩の中には、この人が居る
俺の想いが、通じる事がないと思った
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