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こけこっこ
[飛べない鳥も、居るんだよ。]
ニワトリはそう呟いた。
[だけど、僕はそれを悪い事だとは思わない。]
まっすぐに目の前のカラスを見据え、穏やかな口調でそう続ける。
[何故なら、飛べるという事だけが価値では無いのだから。]
口元に微笑みを讃えるニワトリの瞳は、自信に満ち溢れ輝いていて。
[―…ねえ、君は。何をもって飛べない僕を、無能だ役立たずだと蔑むんだい?]
カラスは黙ったまま、ただゆっくりと羽を広げ飛び去って行く。
-+-+-+-+-+-+-
…飛びたいと願った事が無いわけでは無いのだけれど。
飛ぶ事だけが鳥の価値ではないと、そう気付いたから。
飛べる他人を羨むより、飛べる他人を妬むより。
視点を変えて、価値観は一つでは無いと考えるのは、きっととても有意義な事。
飛べない鳥など居ないなんて言わないで、[飛べない]でなく[飛ばない]だけだと言わないで。
ニワトリに空を飛ばせようとするなんて、それはただの君のエゴによるニワトリに対する虐待なんだよ。
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