縁側にて。

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久々の実家   家の中は 身内の宴会で騒がしい   俺は縁側で ぼーっと空を眺めていた   視線の先には花菖蒲 空は暗く灰色に染まっている さらには灰色から   雨―――   パッとしない空に 心がシンクロしていく…   無言の空間 遠くでは笑い声 雨の泣き声   瞼を閉じれば 居るのは自分と雨だけ   しばし浸っていると 隣にいとこがいた。 「皆のとこには行かないの? やっぱりまだ慣れない? 少し冷えるでしょ? コーンポタージュ持ってきた」   ニッコリ彼女が笑う   お礼を述べると 彼女はまた微笑み 奥へ引っ込んで行った   温かいコーンポタージュを すすりながら また、外を見上げる   六月―――― 冷たい雨が土を撃つ   雲はまだ、 晴れそうにない 心もまた、 晴れそうも、ない   雨はまだ―― 止みそうにない
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