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震える女の子は、黙って頷く。
こんなに怖がってるのに、なんて勝手なんだろう!
やり場のない怒りを覚え、思わず手を握りしめる。
しかし、そんな事は露知らず、どんどん道を外れていく、写真サイト一行。
そして……。
闇の中から、ぼんやりと現れた廃墟。最悪の場所に、着いてしまった。
遊園地でもお化け屋敷は、まず入らない。
反面、ジェットコースターには乗る。今はそんな事、何の足しにもならないが……
それぞれ、適当に怖がっている四人をよそに、さっきからずっと震えてるあの子に、もう一度声を掛けた。
すると、他の四人には聞こえないように、彼女は言った。
「私、霊感があるの……」
そう言うと、廃墟の窓を指差した。
私はつられて、その方向に目を凝らす。
「こっち見てるよ……」
もう泣きそうな声で、そう漏らす彼女。
泣きそうなのは、こっちだった。
更に一行は進んでいく。
私はずっと、胸騒ぎがしていた。それは一種の警告だったのかも知れない。
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