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進むにつれて、道に異変が起き始めた。
手入れされてないせいか、草は腰の高さまで生えており、季節的にも、最悪のタイミングだったと思わせる程だ。
草を掻き分けながら、四人ははしゃぐ。これじゃあ、今すぐにでも何か起こりそうで、気が気じゃない。
そして、ついに廃墟の入口前まで、来てしまった。
私も震えを抑えるのに必死で、とにかく落ち着けと言い聞かせる。
更に、あの女の子の様子は、ますます酷くなっていた。
顔は青ざめ、体の震えは止まらない。それに全く気づかない四人も四人だが、私自身、そのうちヤバくなるんじゃないかと、やたらそわそわした。
呑気にじゃんけんをしている奴ら。入る順番を決めているらしい。
当然、私も参加する事になった。
その結果、最悪な事に、一番最初になってしまった。
私は必死に、一番最初だけは絶対嫌だと反論したが、許されず、半ば強制的に入口に立たされた。
入口に立っただけで、強烈な圧迫感に襲われる。そこから見える内部は、月明かりすら差さない、闇に包まれていた。
これを、進めと? しかも、一人で?
無理だった。せめて二人なら……。
しかし、四人のうち、初めに行こうと言い出した男が、かなり急かしてきだした。
何でこんな事に……。
一歩足を踏み入れたと同時に、涙が一粒、私の頬を伝った。
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