ハジマリ

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ぜぇ……ぜぇ…… 岡田をいじってやるつもりが、ツッコミにまわり過ぎて逆に追い詰められてしまった。 仕方ない。ここは一時撤退だ。 「まあいい。今回はこれで勘弁してやろう」 「何の話よ!?」 追い詰められたことを知られたくなかったので、うやむやに会話を終わらせる。 岡田はひどく不満そうな顔で、「なんなのよ……」とぼやきながら席についた。 その不満はもっともだと思うが、さっきのやり取りを考えるとそれこっちのセリフじゃないだろうか。 さて、と俺は教室を見回す。 今日は夏休み明けの9月1日。つまりは始業式だ。 そんな日から遅刻しそうになる俺はどうかと思うが、まあそれは置いておく。 流石に始業式の日ということもあって、俺たちより遅く来る奴らはいないようだった。 ん。席がひとつ空いてるな。 確かあそこは、三島 春奈の席だ。 普段からサボり気味で、教職員からの評判もあまり良くない奴だから、今日も休みなんだろう。 休み気分が抜けてないに違いない。 なんて思っていると、またも里菜が、「人のこと言えるの?」というような視線をこちらに送ってきていた。 あいつは夏休みの間に読心術が非常に発達したようだ。あれこそ第二形態と呼ぶにふさわしい。
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