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僕の両親は、記者をやっている。
ただの記者じゃない。世界各国の紛争・戦争地域を飛び回り、その状況を伝えるのだ。
一つの地域への滞在は、長くてせいぜい半年。
定住することはないので、子供の僕もいっしょに行かなければならない。
危険だということで、その間仮住まいからは出して貰えないが、僕は度々親の目を盗んで外出し、地元兵士の人たちと仲良くなった。
今日は珍しく、両親が外出せずにいたので、家族3人で夕食をとった。
いつも独りでいた僕にとって、それは何よりもうれしく、幸せな時間だった……。
その時、そんな時間に終わりを告げるように、高らかな銃声が鳴り響いた。
地元と敵対している軍隊が攻めて来たのだ。
僕たちは3人で、見つかりにくい床下に隠れようとした。
でも、それより早く、敵兵士の一人が家の扉を蹴破る。
両親はあわてて僕を押し込むと、護身用の拳銃を持って、その兵士に立ち向かった。
連なる銃声。
つむっていた目を開くと、そこには、体の数ヶ所に被弾し、血を流して倒れる両親の姿があった。
父さんの持っていた拳銃が、僕の目の前に転がってくる。
見れば両親は、まだ生きているようだった。
そんな2人に、兵士はニヤリとわらいながら銃を向ける。
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