ハジマリ

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「あちゃ~、急がないと遅れるな~」 どたどたと、早朝の家の中を走り回る。 「あれも持った……これも持った……。よしOK!」 適当な荷物確認を済ませ、アニメや小説の主人公さながらに、朝食のトーストをくわえて外に飛び出す。 「行ってきます」 俺は一度立ち止まり、誰もいない自宅に、少し神妙な面持ちで振り返る。 もちろん、返事をする者はいない。 俺は無理矢理笑顔をつくると、遅刻しそうなことを思い出して大急ぎで駆け出した。 向かうは、友達との待ち合わせ場所だ。 走っている途中、ご近所のおばさんを見掛けたので、大声で話し掛ける。 「おはようございまーす!」 「あらカズちゃん、朝から元気ねぇ」 「それが取り柄ですからー!」 走りながら、変わらず大声で応える。 ちなみにカズちゃんってのは俺のあだ名で、 浅村 和成。だからカズちゃんだ お、あいつらが見えてきた。俺は満面の笑みを浮かべ、大好きな親友たちに手を振る。 「お~い!遅れてごめんなー!」 「おせぇぞカズ!!俺たちまで遅刻させる気か!」 最初に応えてくれたのは 志田 浩樹。バカだけどノリのいい野球少年だ。 背は確か175くらいだったか。
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