番外編の番外編

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その日も酔い潰れ、フラフラと夜道を歩いていた 行く宛てはない、帰る気にもならない。運が良ければ誰かに拾って貰えるだろう……そんな事ばかり考えていた 何かに躓いて倒れてもそのままの体制でいた 道行く人達は私を避け見てみぬふり。氷のように世間は冷たい目でしか私を見ない その時…… 「そんな所で寝てちゃ危ないよ」 そんな私に声を掛けてくれたのは朔夜ただ一人だった ……一目惚れだった 凄く綺麗な銀髪で、力強い瞳だけど何処か優しくて…… 私は彼を見て言葉を失った 「どうして泣いてるの?」 そして彼は初めて会ったばかりの私の心を直ぐに感じ取ってくれた 意識が段々無くなり、目が覚めた時私は何故か自分の部屋にいた テーブルの上には小さなメモ [呑み過ぎ注意だよ] 痛む頭で記憶を辿った 何となくだけど、家まで彼に送ってもらったような気がする…… それから私は彼を必死で捜した 手掛かりはゼロ。名前すら知らない綺麗な銀色の髪の彼…… でも、見つける事は出来なかった バイト生活に飽きた頃、遅い就職活動をしだした私 幾つかの会社の説明会に参加したが何処も似たり寄ったりだった 資格はいくつか持っていた。やろうと思えば大抵の事は出来るがその気にならない でも、就職するならそれなりの会社に入りたい…… そう思って次の会社に向かった そこで私は彼を見つけた 「あのっ……!」 嬉しさのあまり勢いで彼に声を掛けた 「誰?」 けれど、彼は私の事を覚えてはいなかった あの日の事を言うと、彼は私を思い出してくれたみたいで笑ってくれた そしてその会社で面接を受けた時、初めて彼が社長だと知った 結果は採用…… 凄く嬉しかった。一気にやる気が出た私は死に物狂いに働いた。彼に少しでも近付きたくて…… 「無理しちゃダメだよ」 廊下ですれ違いざまに言われた 「有り難うございます。社長……」 そう頭を下げた時、彼は次にこう言った 「俺の名前は朔夜。ねぇ、尾澤って呼んでいい?」 沢山いる社員の中で、私の名前を覚えてくれてたのが嬉しかった それから何度か昼食に誘われた 私のような人間が会社のトップと昼食だなんて普通に考えて有り得なかった けれど、せっかくの社長からのお誘いを断るなんてもっと許されない こういう事を繰り返している内に、自然と硬い表情が解れていった .
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