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「え? あっ、そういう事ね。確かについさっきまではそうだったけどね。でもさ、今の切彦ちゃんはボクと戦う気も、殺す気も無いでしょ? それに、もともとボクはキミを倒そうだとか殺そうだとか思ってなかったからね。だから、気にすることないよ」
「………………」
「えぇと、切彦ちゃん?」
「……お兄さんは良い人です」
「いやいや、それは買い被りすぎだよ。ボクはただの偽善者だ」
「……それでも、良い人です「ゆーあーないすがい」
また棒読み。
この状態になると口調から覇気からすべて変わるんだな。
ちょうど包丁を捨てたくらいからか。
やっぱり、なにかあるんだろうな。
「……それで、三人組のことですけど、私よりもルーシーさんに聞いた方が早いと思います」
「ルーシーさん? あぁ、最初に名前を出してたっけ」
「……はい。今回の件はルーシーさんが取り仕切っているので」
「そっか。でも、今の居場所とか分かるの?」
「……そろそろ定時連絡の時間なので、電話が――「あっ、ちょうど来ました」
そう言うと切彦ちゃんはパーカーのポケットから携帯電話を取りだして話しはじめた。
よし、これでルーシーさんとやらに会う事が出来れば……
今回の一連の騒動、どうもきな臭いにおいがするからね。どんなに小さな情報でも、把握しといて損は無い。
「……はい、はい。そうです。分かりました、すぐに連れて行きます」
あ、そうだ! 出夢さん達どうしよう。
あちゃー、すっかり忘れてた。
今どこら辺にいるのかなぁ? 黛兄妹とかと鉢合わせしてなきゃいいんだけど。……まぁ例え鉢合わせしたとしても、あの二人ならなんとかするか。
とりあえず連絡取ってみようかな。
「……あの、お兄さん」
「ん、何かな?」
「……匂宮出夢さんと匂宮理澄さんってお知り合いですか?」
「うん、そうだよ。切彦ちゃんも見てると思うよ。ボクと一緒にいたあの二人がそう。眼鏡をしてたのが妹の理澄ちゃん、してなかったのが兄の出夢さんだ。で、その二人がどうかしたの?」
「……いえ、今ルーシーさんと一緒にいるらしくて」
「へ?」
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