罪状.壱‐肆

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「ふぅん。なんだか面白いねっ!!」  ボクも理澄ちゃんに同意。  トリガーが刃物というのもそうだし、なによりそれによって変わるのが人格ではなく性格というのは特に…… 「もういいだろ? 何もねぇ時にこれはちょっと面倒だ」  そう言ってペーパーナイフをルーシーさんに投げ返す切彦ちゃん。  途端に先程のようなおとなしい性格に戻る。  あ、でもこの場合"戻る"という表現は合っているのかな? どちらが本当の性格かによるよなぁ……? 「これでお分かり頂けましたか?」 「はい、ありがとうございますルーシーさん。切彦ちゃんもありがとね」 「……はい」 「それで二つ目の質問です。切彦ちゃんが言っていた"匂宮とかいうとこの三人組"について詳しく教えて頂きたい。ボクとしてはこちらの方が重要です。恐らく匂宮にとっても」 「でしたら、それについては私の方から説明しましょう。実際に戦ったのは切彦くんでも、手配をしたのは私ですから」 「まずこの事について聞きたいのは、本当に戦ったのが匂宮なのかというところです」 「えぇ、本当ですよ。なんと言いましたかねぇ……たしか源氏物語に出てきそうな名前だったんですが」 「いえ、そこまで分かれば十分です。ですが、だとするとおかしいんですよね」 「なにがです?」              、、、、 「出夢さんは、その三人組が黛兄妹に殺されたと聞いて、代わりとして来たんです。情報に誤りがある」 「ふむ、言われてみればそうですね」 「しかも、射堂断罪囚と匂宮雑技団の両方に殺害依頼が出ています。普通ならこのような二重依頼はしないはずなんです」 「……それなら訂正があります。私たち悪宇商会にも黛兄妹の殺害依頼が来ているんですよ」 「なっ!? そんなバカな!! 同時に三つの暗部組織に同じ内容の殺害依頼だなんて」  確実に黛兄妹を殺したいのか? いや、それなら三つの組織に別々に依頼はしない、それぞれに事情を説明して三組織で一つのチームを作ってもらえば良い話だ。  そうしなかったということは、よっぽどの馬鹿か、もしくはもっと別の目的があるのか……  どちらにしても―― 「――依頼主やターゲット、依頼内容を再確認した方がいいですね。ここまで訳の分からないことになったら、守秘義務なんて気にしていられません。ボクは洗いざらい話します」
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