罪状.壱‐陸

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「……すごいですね」 「そうでもないよ。鍛えれば切彦ちゃんにも簡単に出来るようになる」 「……そうなんですか?」 「うん、かくいうボクも父さんから教わったスキルだからね。今度教えてあげるね」 「……ありがとうございます」 「このくらいでお礼なんて……―――――――ッ!!」 「……どうかしましたか?」 「見つけたよ、黛兄妹だ」 「……本当ですか?」 「あぁ、あそこの長い茶髪の女の子が瑠璃ちゃん。その隣にいる男の子が玻璃くんで間違いないと思うよ」  校舎の方からそれらしき子が歩いてくる。 「……どうします?」 「門を出たらすぐに声を掛けよう」 「……わかりました」  でも、こうして見ると普通の中学生と何等変わらないんだよなぁ。  プレイヤーとしても一流の腕前だ。一般人に手を出さないあたりも、ボクとしては好感が持てる。 「……そろそろです」 「ん、そうだね。準備は良い? 念のため刃物もすぐに取り出せるようにね」 「……はい」  二人が門に近づくごとに、声も聞こえるようになってくる。 「今朝の二人、強かったねー。なんていう人だっけ?」 「射堂光さんと匂宮出夢さん。自己紹介してくれたでしょ?」 「おー、そだったそだった」 「まったく。人の話はちゃんと聞こうね」 「はーい」  無闇に人を傷つけてもいない、何かを壊しているでもない。中々芯がしっかりしている子たちだ。  そんなことを考えながら、ボクは二人に声を掛ける。 「ねぇ、君たち。ちょっといいかな?」 「はい? なんでしょ――ッ!?」 「どったの、玻璃くーんって――えッ!?」 「やあ、今朝はどうも」 「なぜここに?」 「いやいや、そう警戒しないでいいよ。ボクたちは危害を加えようとしてるわけじゃない」 「それを信じろと?」 「うーん、やっぱり難しいか」 「まぁまぁ、玻璃くん。そんな怖い顔しなくても良いじゃん。話だけでも聞いてみよーよ」 「ボクらとしても、そうしてくれると助かるんだけど……」 「はぁ…… わかりました。何を企んでいるのか知りませんが、手短にお願いします」
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