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「……すごいですね」
「そうでもないよ。鍛えれば切彦ちゃんにも簡単に出来るようになる」
「……そうなんですか?」
「うん、かくいうボクも父さんから教わったスキルだからね。今度教えてあげるね」
「……ありがとうございます」
「このくらいでお礼なんて……―――――――ッ!!」
「……どうかしましたか?」
「見つけたよ、黛兄妹だ」
「……本当ですか?」
「あぁ、あそこの長い茶髪の女の子が瑠璃ちゃん。その隣にいる男の子が玻璃くんで間違いないと思うよ」
校舎の方からそれらしき子が歩いてくる。
「……どうします?」
「門を出たらすぐに声を掛けよう」
「……わかりました」
でも、こうして見ると普通の中学生と何等変わらないんだよなぁ。
プレイヤーとしても一流の腕前だ。一般人に手を出さないあたりも、ボクとしては好感が持てる。
「……そろそろです」
「ん、そうだね。準備は良い? 念のため刃物もすぐに取り出せるようにね」
「……はい」
二人が門に近づくごとに、声も聞こえるようになってくる。
「今朝の二人、強かったねー。なんていう人だっけ?」
「射堂光さんと匂宮出夢さん。自己紹介してくれたでしょ?」
「おー、そだったそだった」
「まったく。人の話はちゃんと聞こうね」
「はーい」
無闇に人を傷つけてもいない、何かを壊しているでもない。中々芯がしっかりしている子たちだ。
そんなことを考えながら、ボクは二人に声を掛ける。
「ねぇ、君たち。ちょっといいかな?」
「はい? なんでしょ――ッ!?」
「どったの、玻璃くーんって――えッ!?」
「やあ、今朝はどうも」
「なぜここに?」
「いやいや、そう警戒しないでいいよ。ボクたちは危害を加えようとしてるわけじゃない」
「それを信じろと?」
「うーん、やっぱり難しいか」
「まぁまぁ、玻璃くん。そんな怖い顔しなくても良いじゃん。話だけでも聞いてみよーよ」
「ボクらとしても、そうしてくれると助かるんだけど……」
「はぁ…… わかりました。何を企んでいるのか知りませんが、手短にお願いします」
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