罪状.壱‐壱

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 ――出てこなかった。  というのも、ボクが出夢さんを勢いよく突き飛ばしたからだ。  でもって、ボクも出夢さんに蹴り飛ばされた。  それと同時に二本の鉄杭が、先程までボク達が立っていた場所に突き刺さった。 「うにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」  その瞬間、上から何かが落ちてきた。 「――せいやぁっ!!!!!!」  その何かは人間だった。  中学生くらいの小柄な女の子、両腕に嵌められた銀色のガントレットが鈍く光っている。 「ひゅー、危ない危ない、も少し遅かったらこの世とおさらばだったぜ。さんきゅー、ヒカル」 「いえ、こちらこそありがとうございました。それよりも出夢さん……」 「あぁ、分かってる。こいつが双子の片割れだ」  やっぱり出夢さんが言っていた二人というのは、ボクの依頼の対象者[ターゲット]と同じ二人だった。 「あちゃー、失敗失敗「おーい、玻璃くーん!! 避けられちゃったよー!!」 「殺せなかった時点でこの奇襲作戦は失敗だからね。良いよ、今回は挨拶だけして戻ろう」  兄の方の名前は『玻璃』。  うん、合ってるね。  しかし、ホントに凄いな。  殺気を感じるまで気配が読めなかった。  しかも、兄の方は声は聞こえているのに今も姿が見えないし、もちろん気配も感じない。  これはなかなか厄介な仕事になりそうだなぁ…… 「それじゃあ――  ウチの名前は黛 瑠璃(マユズミ ルリ)。12歳の小学6年生だよ。よろしくね」 「声だけで失礼します。あなた方ほどのプレイヤーを相手取るのだから、このくらいのアドバンテージは取らせてもらって良いですよね。では、改めて――  オレの名前は黛 玻璃(マユズミ ハリ)。瑠璃と同じく12歳の小学6年です。以後お見知りおきを」
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