罪状.壱‐壱

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「ご丁寧にどうも。ではボクらも自己紹介を「ボクは射堂 光(イドウ ヒカル)、14歳。だから、キミ達とは一年先輩になるのかな。あとは――知ってるか知らないか知らないけど、射堂断罪囚っていう組織の総隊長をやらせてもらってる」 「ぎゃはははは。俺は匂宮出夢(ニオウノミヤ イズム)。『匂宮雑技団』団員№18、第十三期イクスパーラメントの功罪の仔(パイプロダクト)。『殺戮(キリングフィールド)』を専門・担当する『人喰い(マンイーター)』だ――つっても分かんねぇか、ぎゃはははははは。  でもって、俺にも妹がいる。理澄(リズム)っていって、『調査(フィールドワーク)』が専門・担当の『人喰い(カーニバル)』だ。今回は戦闘オンリーだろうから置いてきたが……まぁ、縁が《合ったら》会えるだろうよ」  その後、二言三言交わして彼らは帰っていった。  あのまま黙って帰すつもりは無かったのだが、どうやら帰して正解だったらしい。  その理由は、地面に突き刺さっている――いや、めり込んでいる鉄杭を見れば一目瞭然だ。  何をどうしたら直径6㎝、長さ30㎝の鉄杭が1㎜も歪まずに地面にすべて埋まるっていうんだ……  最高速度で振り下ろし、最大威力でぶっ叩く。  確かにその程度の事なら出夢さんだって楽々こなせる。  《一喰い》が良い例だ。  しかし、問題はその後だ。  埋まるほどの力の放出、それでいて鉄杭を傷つけることのない力の加減。  そういった絶妙なコントロールは出夢さんには到底不可能な芸当だ。  だが、瑠璃ちゃんはそれが可能である。  たったそれだけの差が、生きるか死ぬかの境になる。  少々大袈裟ではあるかもしれないが、このくらいの評価をしてかからなくてはならないほどの相手であることは確かである。  これまでの事から判断すると、戦況は向こうに傾いている。  かろうじて回避できたが奇襲を受け、一人の正体は未だ不明。
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