罪状.壱‐壱

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「っと、良く考えたらこれからどうするかまだ決めてませんでしたよね。改めて、どうします?」 「あぁ、いざってところで邪魔が入ったから、な」  お気付きだろうか?  今の "な" の部分が強調されたことに。  そして、その瞬間にだけ出夢さんの顔が理澄ちゃんに向いたことを……  意外と根に持つタイプな出夢さん。 「あ、そうそう。そのことなんだけど…… 私が調査すればいいと思うんだよっ!! というより調査します!!」 「「…………………」」  また絶句。  本当になんなんだろう、この娘は。  ついさっき、勝手について来たことを怒らたばかりだというのに、今度はもっと危ないことに首を突っ込もうとするとは…… 「なぁ、ヒカル」 「なんでしょう」 「今、理澄の口から"調査する"って聞こえたんだけど。これって俺の耳が悪いのかな? それともあいつの発してる言語に間違いがあるのかな?」 「残念ですが、そのどちらでもありません。確かに理澄ちゃんは"調査する"と言いました」 「そうか、ありがとう」  そう言うと出夢さんは、理澄ちゃんの首ねっこをつかみ近くの茂みに入っていった。 「いきなりどしたの兄貴? へ? ちょっと待って、その関節はそっちには曲がら――」  …………………。  なんか悲鳴じみた声が聞こえたけどスルー。  なんか変な音もしてるけどスルー。  これは、あれだ。気にしたら負けってやつ。 「ごめんなさい」  数分後――  泣きながら土下座する理澄ちゃんの姿が、そこにはあった。 「少し調子に乗りすぎました」  うん、ホントにあの数分間に何があったんだろうね。  教本に載せられるくらい綺麗な土下座だ。  人間なにをされたらここまでの状態になるのだろうか? ちょっと気になる。 「まーったく。次はないって言ったばかりなんに、なにやってんだよ」 「でも――」 「でももテロもゲリラもあるかっ!!」  なぜここでそんなボケをっ!? 「兄貴、それつまんない」 「すいません。さすがに今のはちょっと……」 「はぁ? 何言って――――あ///」  出夢さんが真っ赤になった。  というより"あ"ってなんです、"あ"って!? 天然ですか? 天然なんですね? 「///と、ともかくだな……」  あ、必死に立て直そうとしてる。  相変わらず顔真っ赤だけど。 「はいはい。分かったから、落ち着いてよ兄貴」 「うるせぇ!! 元をただせばお前が――」
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