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誠の文字
「認めんよ、土方君、弁天台場には降伏する様 伝えてある、無謀と言うものだ」
「しかし総裁、弁天台場はまだ降伏せず戦闘が始まってます、今ならまだ間に合うかもしれません」
「しかし土方君、弁天台場は完全に包囲されていて、救出は不可能だよ…」
「しかし総裁、彼らを見殺しにする訳には…」
「いや、土方君、君達も無事ではすまない、犬死にだよ、死にに出す事は当然出来ない事だよ」
「いや、総裁、私以下新撰組だけで救出に向かいます」
「土方君、君は死にたいのかね、しかし土方君、君は今、新撰組の土方ではなく我が政府の陸軍奉行なのだよ、立場を弁えてくれたまえ」
「しかし総裁、彼らを黙って見殺しにする訳には…」
「いや、土方君、認めん、これは命令だ、土方君、午後の会議まで待機していてくれたま…」
「いや、榎本さん、おらア~、出るよ、奴らだけ死なせる訳にゃ~いかね~…」
「分かってくれたまえ土方君…」
「榎本さんよぉ~、おりゃ~、どうしても行かなきゃなんね~」
「土方君…」
「ここで、奴らを見殺しにしたら士道の名が廃る、おりゃ~、誠の文字に誓ってんだ、誠の名において、士道に背く事は出来ね~」
「ひじ…」
「総裁、只今を以って、陸軍奉行並を辞任いたします」
「…」
「これより、弁天台場救出に向かいます、失礼します」
バタンっ。
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