第二章 海竜神の咆哮

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『あれ?こんな所で何やってるんです?あっ!もしかして無限回廊(ループロード)に引っ掛かった感じですか。』菊乃は申し訳なさそうな顔で術式を解く。 『!っ少し離れて下さい。』菊乃の目が変わった。 さっきまでいた晴紀の横の壁が染みのようになっている。 ひたひたと雫が垂れる。 その瞬間、ドバァッッとダムの放水の様に水が溢れ出た。 『よぉココに居やがったか。チッ探したんだぞ。』バイル・ノーディスがそこに立っていた。 しかし、前回の彼とは何処か違う。 グォォォォォンと、この世の生き物とは思えない叫び声ともとれる咆哮が響き渡る。 『なんだ!何が起きてる!』晴紀は咄嗟に身構えた。 『聴こえるだろ。この指輪の叫びがっ!』Oceanringは蒼く強く輝いていた。 『なる程Oceanringは海竜神が封じてあるんでしたね。』 菊乃は細い目でそれを視る。 「本来はポセイドンが海の警護のための守護獣[ガーディア]として生んだ物だったんですからね。 菊乃は何かを思い出す様な言い方をする。 「俺はあんなのに勝てるのか?」晴紀は自分の手とバイルを交互に見合わせる。 最初の一手は速かった。 超高速で水圧のギロチンが放たれる。 晴紀はそれを覚えたての火炎障壁で止める。 ギロチンは水蒸気となって消えたはずだった。 だが、水蒸気がまたギロチンの形を再構成し晴紀の目の前で水爆した。 「がぁぁぁぁ」晴紀は後ろに飛ばされビルの厚い壁に叩きつけられた。
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