序章 始まりの炎

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晴紀は辺りを見回す。 『菊乃さん、何なんだ此処。』 『昔は銭湯だったんですがね、今は安価で大家さんが譲ってくれましてね。あ、この奥です。』 菊乃が和室の襖を開けるとそこには、岩やコンクリートで出来た広場の様な世界が広がっていた。 『なっ!何だよ此処敷地とか規模無視してんだろ!』 『まぁ固い事は言わなさんな。此処で魔術のトレーニングをして頂こうと考えてます。力の使い方、教えますから。』 菊乃は笑顔で語った。 『あの水野郎が来るかもしれないぜ、それはどうするんだ?』 『大丈夫大丈夫、この敷地は知ってる人も一握りですから。』それではと菊乃は奥に進んだ。 『魔術のイメージは出来てるみたいですね。後は練り方と使い方と言った感じですかね。』 晴紀には良く理解できないがそれも高城から貰った教養本に書いてあった気がする。 『その練り方ってのはどうすればいいんだ?』 『そこなんですね。』菊乃が指を晴紀に向けた。 『練り方は術式、魔術の内容、原理、術者によって変わるんですが、イメージは掴めてるんで集中してイメージを形にする意識をしてみて下さい。』 そういうと菊乃はお客さんみたいです。と言って場を離れてしまった。 『イメージを形にするっつったって、どうすりゃいいんだ?』晴紀は目を閉じた。 (イメージ、右手に火。見えてきたぜ、これを大きく。) 晴紀は目を開け右手を見た。 そこには、白いフクロウが乗っていた。 『・・・うおぉぉ!』晴紀は尻餅を附いた。 『なんか暖かいと思ったらフクロウかよ!どっから出てきやがった!』 フクロウは飛び去って行った。
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