想い オモイ

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貴靖が近くと真っ先に反応したのは高阪葉子の方だった ターゲットの丸谷貞雄は相変わらずの様子で笑っている 「警察です 大丈夫ですか?」 ターゲットに気付かれない様に小声で話し掛ける 高阪葉子は黙って頷いて 「大丈夫です」 と答えた 見たところ目立った怪我もしてない 手でこちらに来る様に合図すると高阪葉子は立ち上がってこちらに来た 「警察です お怪我はありませんか?」 「大丈夫です」 「では部屋の外で待機して下さい 直ぐに行きます」 「はい」 高阪葉子は部屋を出る為に入り口に腰を低くして歩いていった ナイトビジョンには彼女のバックの開いた口から白い何かが見えた 一方ターゲットは変わらずの様子だ 手には透明な袋が握られていた 中身は白 貴靖はそれを見て一瞬で理解できた (なるほど・・・・・・そう言う事か) 丸谷貞雄は近づいた貴靖にはお構いなしに相変わらずだ 貴靖のMP5のレーザーサイトが丸谷貞雄の頭部を捉える MP5のセレクター(セミオート[単発]・フルオート[連発]・三点バースト[三発ずつ発射されるモード]の切り替えを行うスイッチ)はセミオートに合わせられていた この事件の真相に気付いたところでやることは変わらない 貴靖は引き金を引いた サンプレッサーに押し殺された銃声が一回 部屋に響いた 貴靖は部屋の入り口に向かい高阪葉子を逃がす為に1階の中央玄関を第2階段を使い目指した 1階の中央玄関への曲がり角で貴靖は高阪葉子に話し掛けた 「私はここまでですので玄関の外まで行けますか?」 「え?どうして・・・・」 「どうやら犯人が起き出した様なので私は確保に向かいます」 そんな訳はない 少し前に丸谷貞雄には息を止めてもらった 要は逃げるからだ 「・・・・・分かりました」 「では、合図をしたら外に向かって下さい 外の隊員達があなたを保護しますので では・・・・・・・」 貴靖は適当な間を取って高阪葉子に合図を出した 彼女は曲がり角を曲がって玄関を目指した そして貴靖は裏口に駆け足で移動して再びマンホール伝いに"マーチン"のいる場所に戻った 明日はニュースが騒ぐことだろう
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