想い オモイ

8/20
前へ
/179ページ
次へ
黒のワゴンは都心から逃げる様に首都高を走っていた 取り付けてあるカーナビで渋谷での騒ぎを取り上げているニュースを見る どこの番組のキャスターも口々に[良かった]やら[安心した]などとほざいている (・・・・・・ツマンネ) 情報収集の為でなかったらとうにチャンネルを変えている だがこの時ばかりはどこのチャンネルも渋谷の一件を報じていた 「・・・・・・もう10年か」 「何がだ?」 「お前のブローカーを社長から任されてからだ」 "マーチン"は突然話し始めた 「最初はこんなガキが使えるのか心配だったが・・・・・・ 今にすればそれは杞憂だったな」 「何だよいきなり」 「いや…… それよりも"ログ"辞めた後はどうする?」 「普通の高校生になるさ なりきるんじゃなくてな」 「そうか・・・・・・・・・・・・・・ 実は俺もブローカーを辞める事になってな」 「カンパニーを辞めるのか?」 「違う ブローカーから売人へ転職だ」 「そうか・・・・・」 「社長が言っていたぞ "こちら側に戻って来るなら歓迎する" だとよ」 少し胸が熱くなる 「・・・・・あの人に礼を言っておいてくれ」 「あぁ」 我が家に着いてみれば午前3時を回っていた 高校生には似つかわしくない代物を片付けて携帯を見る メッセージが一件ある 絢香からだ メッセージを流して耳を傾ける 『------明日絶対放課後に屋上に来て!』 その言葉を聞いた時に手が止まって危うく麦茶をこぼす所だった メッセージを聞いた貴靖の中ではプリクラでの絢香の事と正則の告白が引っかかっていてしょうがなかった 絢香は多分自分の事が好きなのだろう だが正則は絢香の事が好きと言っていた 一通り考えてみたが、どうにも善い案が思い浮かばない 最終的に何かを選べば、どちらか一方を傷つける (わかんねえって・・・・・・・・・・マジで・・・・・) 貴靖は疲れの溜まった体をベットに投げ出して目を閉じた
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加