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「・・・・・・春うららなんて誰が作った言葉なのか知らないが良い言葉を作ったもんだな・・・・・」
1人屋上のベンチに横たわって呟く
今日は3月・・・・・何日かは忘れたが今のところ下階では入学式が行われているだろう
現に俺はそれが面倒だったから屋上でエスケープついでに春を満喫している
春程良い季節はない
桜は綺麗だし、暖かい
それに何よりも昼寝するのには申し分ないからだ
校舎の中はまだ静かなままだった
遠く体育館から声が聞こえる
(・・・・・・まだやってるのかよ・・・・・・・)
開始から2時間経っていた
(・・・・・校長話長過ぎ・・・)
と内心で嘲笑って
再び瞼を閉じる
「貴靖~、ちょっとそこどいてくれる?」
不意に上から声がする
聞き覚えのある声だった
「絢香か?」
「そうよ、貴靖またサボり?」
「あぁ・・・・・、てかお前も人の事言えねーだろ」
眠気全開の声で会話をする
「いいの、私は優等生だから~」
「流石優等生様は違いますねー」
確かに幼なじみの絢香はテストの順位は学年で1から3位がいつもだった
「はっはっはー、もっと褒め称えよー!
ってとこで貴靖そこどいて」
「だが断る」
「ケチッ!!」
「どーも」
溜め息をついた後に絢香はベンチの手前に座ってベンチを背もたれにした
「じゃあ、いいや
私ここに座る」
・・・・・と言ったものの貴靖からの返事はなかった
その変わりに静かに寝息が聞こえた
「寝るの速すぎ・・・・・」
絢香は苦笑しながら貴靖の寝顔を眺めた
そして、吸い込まれる様に貴靖の唇に自分の唇を押し付けた
「・・・・・・はぁ~っ・・・・・告るタイミングに寝るなよ~………バカ」
それを呟くと絢香は屋上を去った
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