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「振られるって分かっていたのに・・・しかもお前に!・・・・・本当に馬鹿みたいだ・・・・」
貴靖は吐き捨てる言葉を浴びるしかなかった
「どうしてこんな事・・・・・・・・!」
暫く黙っていた貴靖に正則が苛立ちを覚えた頃に貴靖は口を割った
「・・・・・・怖かったんだ」
貴靖は正直に心の内を、昨夜考えた事を明かし始めた
今更隠す事は無意味だった
「俺にとって・・・・・お前と絢香と俺の3人でいた時間や日々が何時も俺の支えだった・・・・・・
心の拠り所だった・・・
でも昨日帰りに寄ったゲーセンで絢香の気持ちに気付いた
本当に驚いた
けど俺は告白されても断るつもりだった
俺達の関係を崩したくなかった
だが、お前が絢香への気持ちを明かした時・・・・・・・
分からなくなったんだ
俺はどうすればいいのか・・・・・・
マジで悩んだ
お前にはあんな事を言ったがあの時は2人が・・・・・・・お前と絢香が幸せならそれで良かった
けどさ--------」
「もういい・・・・・」
正則が発した声は貴靖の数分の一だったが貴靖の話を遮るには充分だった
「貴靖・・・・・・・俺達の関係・・・・・・ここで・・・・終わらせよう」
「・・・・・え・・・・・」
それは貴靖が最も避けようと苦心した事で、最も恐れていた事だった
「・・・・・おい、どういう事だよ・・・・それ・・・
どうしてだ!どういう事だ!」
今度は貴靖が正則に掴み掛かった
「言葉の通りだ
俺達3人の関係はこれで終わりだ」
「だからどうして!」
「・・・・・言葉の通りだ」
正則は貴靖の腕を払ってきびすを返した
「じゃあな、近江」
正則はそれだけを言って廊下へ立ち去った
貴靖は糸が切れた人形の様にその場に膝をついていた
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