想い オモイ

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やっとお互いの想いを言葉に出来た2人は家路を進んでいた 空には夕暮れのオレンジ色が残っていたが、辺りは暗く街路灯が辺りを照らしていた 家路を三分の一進んだであろう所で絢香が足を止めた 「どうかしたか?絢香」 絢香が見上げる先には街路灯に照らされた桜の列が2人の空を埋め尽くしていた (そういえば・・・ここにも桜があったな) 日頃は意識して見ていなかったが、この道は毎年桜並木が咲いている 今年も咲いていた様だ 「・・・・・・綺麗」 絢香の言う通り日の元で見る桜も確かに綺麗で良いが、夜の闇に街路灯で照らし出される夜桜はなんとも美しい 「確かに綺麗だな・・・・」 貴靖も絢香と同じようについつい魅入ってしまった 街路灯に照らされ闇に花びらを散らす姿は艶やかで幻想的で儚さを帯びている 魅入ってしまうのも無理ない 「・・・・・まぁ確かに桜も綺麗だが・・・・・・あ・絢香の方が綺麗だ・・・ぞ・・・」 「何そのセリフ古っ・・・・」 「うぅ・・・うっせー 悪かったな!・・・」 気を利かせてみたものの失敗した (・・・・・・格好ワリー・・・・俺・・・・) 落ち込んでいる貴靖を余所に絢香は桜を見ながら歩き始めた 「あ!でも・・・・・さっきの本当にそう思ってる?」 絢香が振り返って悪戯っぽく笑いながら聞いてきた 「あぁ、勿論」 「えへへ、嬉しい ありがとう」 これもまた悪戯っぽく笑いながらはにかんで絢香は言った 貴靖は絢香の笑顔が自分の鼓動を大きくしたのを感じた 春はいい 昼間はあったかくて気分が良いし、桜が綺麗だ それに昼寝するにはうってつけだ そして何より、大切な人が出来た季節だから
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