愛して アイシテ

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しばらく2人で黙ったままテレビを眺めていた 不意に絢香が「よいしょ」と言って貴靖の膝に頭を預けた 膝枕だ まさか自分が絢香にやるとは思っていなかった が、悪い気はしなかった 「ねぇ…貴靖」 膝の上の絢香が懐かしそうに呟いた 「どうした?」 「覚えてる? 私と貴靖が初めて会った時の事・・・・」 「確か・・・・・10年前だったな」 「そう、であの時私-----」 「溺れていたな」 「うん……溺れていた そして貴靖に助けられたよね・・・・・」 3人が知り合ったのは絢香が川で溺れていたのを貴靖が助けた事がきっかけだった まだ貴靖が"カンパニー"の命でこの街に越して来て間もない頃の話だ 「あぁ確かに助けたな で、それが?」 「助けた後に膝枕してくれたよね・・・・こうやってさ」 「あぁ石を枕代わりにするのは可哀想だったからな」 貴靖に助けられて河原に引き上げられた絢香は呼吸はしていたので寝かせていたらその内目が覚める状態だった が、辺りは石ころばかりで寝かせたら痛そうだったから膝枕をして寝かせた 「あれ以来だな・・・・・3人でよく遊んだの」 「そう、私が膝枕をお父さんにせがむ様になったのもあの頃からなの」 「俺の影響?」 「もちろん♪ そして、初めて好き人が出来たのもあの頃」 「もしかして、それって------」 言いかけた瞬間に絢香が貴靖の首に腕を回して引き寄せてキスをした 長く深くお互いに貪りあって 「本当に夢みたい・・・・あの頃の初恋が叶った」 絢香は唇を離して、満足や愛しさ、喜びなど様々な感情を浮かべて眩しく微笑んだ 「貴靖・・・・・好き・・・・大好き!!!」 「俺も好きだ絢香・・・・」 そう言ってまたお互いに唇を重ねる (やべ・・・・なんか学校行きたくなくなってきた・・・・・) ポロリと本音がこぼれ落ちた
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