愛して アイシテ

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絢香とは別々のクラスの為貴靖は教室に一人で入った いつもなら、もう一人隣に居たのだが・・・・・ そんな思いが頭をよぎるが、もうどうにもならない 半ば諦めの思いが漂った だが、そんなに簡単に諦める事は出来ないしそんな程度の友人じゃなかった しかし、暫くはほとぼりが冷める事を待つしかない そんな気がした 席に座ると立っていた事で抑えていた眠気が一気に解放されて目の奥から湧き上がってくる そうなれば、やる事は一つ 机に突っ伏して寝る それ以外の何が在ろうか 感覚である筈の眠気が重量を持ったように頭を重力に従わせる それを待ち構える様に組まれている腕 頭はそれに着陸して黒い闇が世界を包む そして、後は意識が落ちていくのを待つだけだ 待つだけだ 待つだけだった いきなり肩を叩かれ意識が一瞬で現実に引き上げられた 「おい、近江起きろ」 眠気で半分閉じている眼で主を見ると男子生徒が立っていた 「これ」 男子生徒が差し出したのは一枚の紙だった * 2-1近江貴靖 昼休み13:15に生徒会に出頭されたし 白馬野岳高校生徒会 * 内容は単にそれだけだった要は生徒会からの"出頭命令"だ 平たく言うなら"呼び出し" こんな短い文を書くために紙を使うとは、なんとも森林資源の無駄遣いである ともかく、この男子生徒は生徒会の遣いという事だ 「という事でよろしく」 そう言って男子生徒は立ち去った とりあえずは行くしかない 下手してまた呼び出しをくらうのはゴメンだ (俺なんもやらかしてないよな・・・・・・) 生徒会に呼び出される様な事はしていない 呼び出しの原因を考えながら紙を机の中にしまう そして手に紙以外の物の感触が伝わって来た (ん・・・・・・?) 取り出されたのはわざわざご丁寧に折り畳まれた一枚のルーズリーフだった
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