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最初に箸で掴んだのは唐揚げだった
衣に黒い点が見える事から油の温度を上げ過ぎた様だ
それ位なら大丈夫だと思って唐揚げを口に運んで噛みしめた
「どう・・・・・かな?」
絢香が固唾を呑んで反応を待つ
(唐揚げ・・・・・・・だよな?
なんでこんなに辛さと甘さがするんだ・・・・・?
・・・・待て、まずはこの唐揚げに何を使ったのか確かめよう)
味の第一印象は、辛いそして甘いついでに苦い
後、香りだがかなりニンニクの匂いがする
「絢香・・・・・・この唐揚げにどうやって下味を付けた?」
「えっと・・・・蜂蜜とニンニクを入れて
臭い消しにリンゴのすり下ろした奴とコーヒー
後は辛みにタバスコを入れた」
なるほど唐揚げにあるまじき甘さ・辛さ・苦味とニンニクの原因は解けた
「で、どうだった?」
(言えない・・・・・・・これは唐揚げじゃないなんて・・・・・口が裂けても・・言えない・・・・・!)
必死に頭を捻ってなんて応えていいのかを探していた、その時一つの考えが浮かんだ
「・・・・・・・・・・・絢香」
「何?」
「・・・・・・今度弁当を作る時は俺と作ろう」
「え?なんで?私1人でも--------」
「一緒に作ろう!な?」
「もしかして・・・・不味かった?」
「んな事ないが・・・・・絢香と一緒に弁当を作れたら嬉しいな・・・・・うん」
絢香は腕を組んで少し考えて
「まぁ貴靖がそう言うならいいっかな」
頷いた
「ありがと・・・・マジありがとう」
とりあえずこれからの昼飯の安全は確保した
(良かった・・・・・良かった・・・・)
発覚した絢香の料理下手は自分が治していけば良い
一応、料理は良くする為自信はある
(あ!でもそれって・・・・・・絢香と料理するって事だよな・・・・・・・・・・・・・なんか楽しみだな)
そう考えると少しワクワクする
しかし、貴靖にはこの味のブラックボックス化した弁当を食さなければいけないと言う試練が待ち構えている
本人がそれに気付いたのはもう少し先の話になった
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