桜 サクラ

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携帯で時間を確認すると5時を過ぎていた (そろそろ夕飯の買い出しに行かないと) 「絢香ー、そろそろ帰らないか?」 それを聞いた絢香の顔が微妙に曇る 「なんで?」 「いや、そろそろ俺夕飯の買い出しに行かないといけないからさ」 「あっ!そういえばそうね……… じゃあ、あれやったら帰りましょ!!」 絢香は貴靖を引いてあるコーナーに向かった 「あれよ!」 絢香が貴靖を引っぱって来たのはプリクラコーナーだった そして、指差したのは最近ゲーム雑誌に載っていた"恋人同士で"というコンセプトのプリクラ機だった 「あれか!?」 「うん、嫌・・・・・・だった?」 正直なところ恥ずかしい・・・・・・ ピンクカラーを前面に押し出したデザインで彼女無しの男が入るのには抵抗がある しかし・・・・・・・・・・・・・・・ 「嫌・・・・・だったら別にいいけど・・・・・・」 妙に少し沈んだ絢香の顔を見た貴靖は蚊が鳴く程の小さな溜め息を漏らした (反則だ・・・・・・全く・・・) いつも活発でエネルギッシュな幼なじみのいつもとは違ったしおらしい姿 小学生からの付き合いだが初めて見た表情と姿に貴靖の心臓が一際大きく鼓動を打つ (しょうがない・・・・・) 「いいぞ」 それを聞いた絢香はピクリと反応して信じらんないという表情でこちらを見た 「ほ、本当に・・・・・・?」 「ただし、手短にな」 「うん!!」 絢香は貴靖の腕に抱きついてプリクラ機の中へ引っぱって行った 明らかにさっきよりも足早だ 絢香は百円玉を入れてアナウンスに従いながら細かい設定を行っていく 『最後にフレームを選んでね』 とアナウンスが流れフレームを選ぶ 「どれが良いかな~…」 「どれでもいいだろ・・・・」 直後に絢香の足蹴がスネに飛んで来た どれでもよくないらしい 「じゃあこれで決定!」 選んだのは白いレースにリボン付きのベルが描かれているものだった 「それか!?」 まるで結婚を約束した恋人みたいだ 「ウダウダ言わないの!」 貴靖が諭された後に撮影のカウントが開始された
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