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──やばい逃げなきゃ……。
全身震えていたけど、なんとか足が動いてくれました。
目をぎゅっとつぶって、老人に向かって思い切り走りました。店を出るにはそこを通らないといけないからです。
ぶつかる感触は、やっぱりしませんでした……。
バスタオル一枚だったけど、多分忘れていました。
大急ぎで外に出ると、パニックで方向感覚が無くて、駅を探してキョロキョロしました。
すると、足の無い人が何人か視界に入ってくるじゃありませんか。
思わず二度見。
でも目が合うのが怖くてすぐに視線をそらしました。
そうして途中何度も足の無い人と目が合う恐怖にさらされ、フラフラになりながらもアパートの自室に向かって一生懸命走り、無事にたどり着いた私はすぐ布団をかぶって丸まりました。
でもすぐに玄関の鍵をかけ忘れた事に気付いて、(いつもは開けっ放しなのです。盗られるものもないので。)慌てて鍵をかけに走りました。
それはすごい勢いで、ドアに体当たりする程でした。
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