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しかし、今自宅の風呂は作業中で使えないので、すぐ近くの兄の家で借りてくれというのです。
なんでもいいから風呂に入りたかった私は承諾して、バスタオルや洗面道具一式を借りて、おばさんとその兄の家へ向かったのです。
「ほんとうにごめんなさいね~」なんて定形的に謝られながら歩いていると、最寄り駅が見えてきました。
おばさんが言いました。
「兄の家は駅のすぐ近くの骨董品店なのよ」
それが意味することにすぐには反応できなかったけど、目的地に近づくにつれて気付いてきたのです。
その骨董品店は、私をいつも目で追ってくるあの老人がいる店だったのです。
たちまち不安になってきて、──やはり断ろうか……でもお風呂入れないし……とあれこれ考えている間に着いてしまいました。
こっちが怯えていることなんか知らないおばさんはツカツカ先に入って行ってしまうので、私もおずおずついて行くしかありませんでした。
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