『クリス・バートラーの最期』

運が悪かった？

──洗濯って、どこでやってるのかな……。

服のありかと洗濯の進行状況が知りたかった私は、老人の姿を探して店舗の方をのぞきました。
すると老人はレジ台の後ろの椅子に座って、何か読み物をしているようでした。
レジ台は店舗入って右にあり、座敷から手も届く距離です。

「あの～。お風呂ありがとうございました」

座敷から声をかけても、返事がありません。
聞こえなかったのかな？　と思った私は今度はもう少し近づいて、「お風呂、ありがとうございました。あの、僕の服はどこで洗濯しているんですか？」と声も気持ち大きくして話しかけました。
ですが、聞こえているハズだけど返事がありません。

私はバスタオル姿で店に下りるのは気が引けたけど、仕方ないので履いてきたスニーカーを引っ掛けて下りてみました。
スニーカーは、まだ泥だらけでしたけど……。

「あの～……」

目の前に立っても、老人はこちらを見る気配はありません。
──何か怒らせたかな？
私は困って、何気なく振り返って店舗内を見渡しました。