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「……死んでんの?(汗)」
屋根の上を走っていた男が寝ている凜を見て、額から冷や汗を流した。
スッ
「なんだ、生きてるじゃん」
手首に手を当てて、生きていることを確認した男はそのままフワリと凜を持ち上げる。
「調べに行こうと思ってたところだから調度よかったかもね
屯所まで連れてってあげるよ」
さっきからペラペラと話かけているが当の凜は寝ているため、返事が返ってくることはなかった。
タンッ
何この子……
軽すぎじゃない?
そんな事を感じながら、男は凜を抱えたまま屋根を次々と走り抜けていく。
――――――――――
タンッ
「あれ、山崎じゃないですかー
仕事もしないで何してたんです?」
塀を越えて降り着いた場所には一人の青年が立っていた。
男らしい体つきとは言えないが、短髪で中性的な顔つきである。
あぁーあ、面倒な人に会っちゃったなー
「俺は立派に仕事中だよ
沖田こそ何してんの?
また稽古サボってんでしょ」
「サボってなんかいませんよ
ちょっと休憩中です」
ちょっと――……ねぇ
どうなんだか――……
「まぁ俺は歳に報告があるんで」
ガシッ
「ちょっと待ってください
その子何なんですか?」
男、山崎の肩を掴んでにこりと微笑むがとても温かい笑顔とは言えない。
「歳の許可が出たら話すよ」
「せめて手当だけでもしてあげません?
ほら、血が出てるじゃないですか」
凜の服に付いている血を指差した青年、沖田は相変わらず笑顔を崩さないでいた。
「あぁ、これ返り血だよ
だからこの子は怪我してないの」
「返り血――……へぇ、面白い」
先程までと同じ笑顔のはずなのに、山崎は思わず背中にゾクリと悪寒を感じる。
「……――もういいでしょ?
沖田、ちゃんと稽古出なきゃ駄目だよ」
そう言い放つと、山崎はスタスタと歩いて去っていってしまった。
「面白い――……か」
こんな女の何処が面白いんだか
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