start

9/10
前へ
/161ページ
次へ
佐藤凜、ただ今とても気まずい状況におちいっています…… 実は持ち上げられた時から起きてたんだけど、なんかこんな状況になっちゃった さて、どうしたものか 「さっさと起こしやがれ」 「ほんと歳って乱暴だよね 女の子は、大事にしてあげなきゃ逃げちゃうんだよ?」 何この人――……気持ち悪い こういうタラシっぽい人って、大の苦手なんだよね 「じゃあ俺が腹殴って起こしてやるよ」 男はそう言って、拳を握り締めた腕を上に振り上げる。 ダンッ 「……――どういうつもり?」 「起きてたのかッ!?」 「っていうか痛いんだけど 思いっきり俺のこと足場にして飛んだよね いい度胸してるんじゃない?」 凜が飛ぶための足場にされた山崎はにこにこと微笑んでいたが、後ろからはどす黒いオーラが滲み出ていた。 「あぁー……ごめんね?」 まったくもって誠意の感じられない謝罪の言葉に、山崎は思わず眉間に皺をよせる。 「謝るならさぁ、もっときちんと謝ろうよ ねぇ、できるよね?」 何この人ッ!!怖いって!! 目が笑ってないよッ!? でも――……謝ったら負けな気がする!! 「しっ知らないよ、足元にいた貴方が悪いんじゃないですかー?」 「ふーん、君名前は?」 「渡辺権兵衛( ワタナベ ゴンベエ )?」 .
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

523人が本棚に入れています
本棚に追加