fatality

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コンコンッ 「部長、佐藤です」 「入れ」 ガチャッ 私は部長の座っている机に向かって真っすぐに歩く この机を見るのも今日で最後だと思うと悲しいものだ 「じゃあ部長、私がいなくて寂しいかもしれませんけど泣かないでくださいね」 「……誰が泣くって?」 肘をついたまま部長はこっちを睨んでいる 相変わらず冗談が通じないんだからつまんないよなー でも嫌いにはなれないんだよね ボソッ 「……――死ぬなよ」 だってこの人はあまりにも優しすぎるから でも私は… 「全てを終わらせてきます そのために全てを捨たんですから」 「もうお前には何もないってか? で、目的を果たした後お前はどうするんだよ」 「それ聞いちゃうんですかー? セクハラですよ、部長」 「ごまかすな」 いつになく真剣な空気 苦手だから私は部長の問いには答えない 「部長、お世話になりました」 バタンッ 「……死なないって言えよ」 なぁ、アイツを殺した後お前は…… 死ぬつもりじゃないよな? .
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