2 十条美琴

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一人の暗殺者を母体とし、普通に赤ん坊を生ませる。 奇をてらったものではなく、普通に生み出そうとしたのだ。人一人を普通に成長させるには時間がかかる。だが一人の研究者の言葉がその実験を進めさせた。 『忌むべき子は、忌むべき母体からのみ生まれるはずだ。』 この実験は人工受精と同時期にスタートする事になった。 実験名『素戔嗚尊計画』、神の子の名を冠したこの実験に母体として選ばれたのは、十条美琴だった。 そして父親に選ばれたのは当時若くして優秀だった暗殺者、無音。 そして生まれた少年には未だ名前は与えられず、今は美琴が面倒を見ている。 「……ねぇ美琴、正直に答えてくれる?」 「質問によるな。」 「貴女、後悔してる?」 「お前みたいな友達がいる事は既に諦めたからいい。」 いつもの暴言だが、麗華はそれだけで理解した。 美琴は後悔している。だがそれを言いたくは無いのだろう。麗華はそう解釈した。 そう解釈するに足る理由があるのだから。
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