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美琴が仮の住処に戻った時、少年は既に寝ていた。それを見て美琴は少し安心したような表情を浮かべている。
だが、近付かない。
訓練された少年は人が近付くだけで熟睡中でも目を覚ます。だから美琴は近付かないでいる。我が子の睡眠を邪魔する気は無いのだろう。
少年の寝顔をしばらく見つめながら、美琴はそっと離れ、自分の部屋に入る。
パソコンを起動し、様々な情報を流し見ている。
(新しい指令は無し……例の襲撃者に関しては特筆すべき追加情報も無しか。)
酔い覚ましにコーヒーを淹れ、パソコンを操作する。そんな中、一通のメールが届いた。
『親愛なる十条美琴様』
その部分だけを読み、無言で削除した。相手が誰なのか分かっているのでそういう対応らしい。
すぐさま次のメールが来た。
『あの、まだ怒ってる?』
また無言で削除した。以後何通もメールが届いたがタイトルだけ見て削除し続けた。
(あー……無音ウザい。)
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