3 六藤鈴鹿

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拳銃を向けられ、撃たれる前に相手の手を斬り飛ばし、ついでに首を斬り落とす。 向けられた短刀を蹴り飛ばし、そのまま相手の手首、脇腹、首筋を切断する。 一切の無駄が無い、徹底的に効率的な動きだった。故に美しかった。 日本刀は、人殺しの道具でありながら芸術品としても扱われる。それは斬る事に特化しているという機能美を兼ね備えているからだ。 故に、あの少年も同じ。何処までも効率的な殺人人形、無駄なく殺す機能美が、あの少年にはあった。 「…………最も『完成品』に近い暗殺者、それがアレか……」 私や他の暗殺者達は遺伝子操作によって生み出された。もちろん全てではない。中には孤児や志願者もいるだろう。 だが、そんな私達ですら到達出来ない境地にあの少年はいた。ただ殺す為の、殺す事に抵抗を感じない暗殺者。 理想的な暗殺者、それがあの少年だった。故に注目される。私達からも、敵からも。
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