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美琴が電話の相手に呆れていた頃、とあるホテルの一室にて……
「あん、もう……あんまり焦らないで♪」
「失礼、君のお尻があまりに魅力的でね。私の手がちょっと悪戯してしまったよ。」
「もう……お尻だけ?」
「もちろん、お尻以外も……」
一人の男が薄手のドレスに身を包んだ女性を後ろから抱き締めていた。恋人同士のようにも見えるが、別にそういう関係ではない。
単に男が街中でナンパしたのだ。
「そういえばお兄さん、どんなお仕事してるの?」
「ん~……暗殺者かな?」
女性が笑う。男の言葉は冗談のように軽いモノだったので、そう思われても仕方は無かった。
だが、女性が笑った理由は違った。
「暗殺者、無音でしょう?」
「おや、有名だったかな?」
「えぇ有名よ……最強の暗殺者さん♪」
女性が振り向き、無音と呼ばれた男を強く抱き締める。
女性は知っていた。この男の名前、正体を知っていた。否、無音こそが女性の目的であった。
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