異常な日常

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オムツから漏れだした尿はベッドまで達し、その雫が床に水たまりをつくっていた。 しかも、こういう日に限って山本さんの奥さんが面会に来ている。 不幸は畳みかけるのが世の常だ。 ワンピースでゾロが言っていた。 まったくうまくできていない世界だ。 定時なら5時で帰れるはずが、春徒が会社を出たのは7時だった。 雑務処理と山本さんの奥さんのクレーム対応で1時間。 課長の説教が1時間。 ずるい。 あの課長、空野には絶対直接言わない。 嫌われたくないから。 今日はホントに限界だった。 仕事のストレスを割り切って職場で消化出来るほどできた大人ではない。 老人ホームの職員用の出口を抜けると手当たり次第に友達に電話しまくった。 理由はひとつ。 今日は飲まないとやってられないから。 酒は何故18歳まで飲んじゃいけないのか。 子供はそこまでのストレスを感じないからである。 酒は自分が汗水垂らして掴んだ金で苦労を労いながら飲むからうまいのだ。 親のお小遣いとか財布から取った金で飲む酒はただカッコつけてるだけで味なんか分かってないのである。 でもその飲み友が掴まらない。 知っている。 不幸は畳みかけるのが世の常だ。 ワンピースのゾロが言っていた。 携帯を右耳に宛てたまま駐車場の自分の車まで来てしまった。 (ひとり酒なんて気分じゃねぇんだよなぁ)
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