【一章】

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「西の小さな村とエデンを繋ぐ森があるだろ」 「はい」 「そこで怪物が出たと噂が入ってな。兵士を二人送り、噂の真相を調べさせたんだが……。どうやら噂は本当らしく、兵士曰わく、大きな鳥のような影を見たと言うんだ」 「そいつを討ち取れと?」 「まぁ、そういうこと。ただ、姿形を見たわけではない。故、もしかしたらと思い、フリンに頼んだわけだ」  申し訳なさそうに眉を下げる神王。  フリンは「わかりました」と言うと、以後の連絡を待つようにと命を受ける。 神王に一礼をすると、部屋を後にしようとする。 その手前、ドアの横にアルテミスの姿を見つけ、会釈を交わした。 「アルテミス、ありがとう」 「いえ、私は御案内したまでですので」 「いや、ペンダントさ」  仮面越しに目を見開くのがわかる。 しかし、時間を告げる鐘の音を聞くとその場を立ち去るしかなかった。 いや、時間が許したとしてもアルテミスと話すことは何もない。 王室付きの騎士に余分な話をすることは許されていないのだから。
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