【一章】

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「クフリン、この状態からでも私はお前を動かなくすることも出来る。相手の動きを私がコントロールすることすら可能だ。クフリンならわかるな? 私の体質を」  フリン自身、この程度でエデンの部隊隊長になれるほど甘くないことは知っている。 まして、民衆がいる中、やり合うわけにはいかないことを双方わかっていた。 フリンが槍を下げれば、アテナも双頭剣を空に消す。 お互い微笑み合うと、拳を当てた。 「早く帰って来い。そしたら、昼食を食べに行くぞ?」 「あぁ、楽しみにしてるよ。エロス、アテナを頼む」  エロスに視線を送れば、頷きかけてくれる。 それを見て、フリンは神王の待つ神殿へ向かうべく踵を返した。 甲冑を揺らしながら歩く街並み。 今まで、気持ちの面で浮かれた心も討伐と聞いて引き締まるようだった。  エデンの中央に作られた城。 街の何処から見てもわかる象徴的建造物だ。 青い屋根の先端には、エデンの国旗が風に靡いている。 真っ白な煉瓦を敷き詰めた壁は太陽の光を反射させていた。 城は三つに別れ、真ん中の建物が一番高く作られ、その両端に少し低く作られた城がある。 両方ともエデンを守る部隊の寮となっており、異常事態に備えられているのだった。 神王の待つ王の間へ向かうため、城の正門に向かう。 もちろん、門番がいるわけだが、フリンの顔を見るなり、頭を下げ、門を開いた。 街の作りとはかけ離れた敷地内。 大理石が埋め込まれ、足音が高らかに鳴る。 フリンは立ち止まり、何気なく城を見上げた。 鳩が気持ち良さそうに舞い躍る姿に清々しさを胸に宿す。 改めて、中央城の門を見るといつの間にか誰か立っている。 フリンを見つけると、一定の足取りで歩み寄って来たのだった。
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