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「先生!!急患です!!患者は中学1年生で、オートバイとの接触により意識不明の重体です!!」
「今すぐ集中治療室に運べ!!」
とある病院にストレッチャーが運び込まれた。
ストレッチャーには血を流し、身体のいたるところを赤く染めた男の子が横たわっていた。
口には酸素マスクがあてられ、とても息が荒い。
それに続いて夫婦が男の子を追うようにして病院に入ってきた。
「先生!息子は…!?息子は助かるんですか!?」
男性はここが病院だということを忘れたかのように、医師にがっつく。
「お父様、お母様。落ち着いてください。こちらも全力を尽くします。ですから、暫くの間待っていてください」
医師は夫婦を宥(ナダ)めるように言葉をかける。
「……あなた。先生を信じましょう」
母親の方が口調が落ち着いているようだが、その声は震えていた。
「先生、お願いします。……息子を救って下さい」
父親は両手を医師の肩に両手を置き、下を向いて肩を震わせていた。
「あなた、行きましょう…」
父親は母親に支えられながら、治療室の前までゆっくりと移動していった。
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