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「おい!!そこ!!さっきからうるさいぞ」
急に響いた顧問の声。
「「す、すいませ~ん」」
はあ、さっそく怒られちゃった。もう、佐那のせいなんだから!
「あ、そういやお前、健吾の弟なんだってな。よく似てるよ。」
(ん?健吾?知らない名前)
顧問の目線の方を見てみた。
(えっ)
そこには、目がパッチリで、私なんかよりずっと色白で、女の子みたいで、でもちゃんと芯をもってるっていうか・・・
優しそうな男の子がいた。
(こんな人、いるんだー)
私はつい見入ってしまった。
「なーにー?一目惚れ?」
佐那がニヤニヤしながら核心をついてくる。まったく、こういうのだけは得意なんだから。
「ちがいますー!!」
「こらっ!!またうるさいぞ!!ほんとにお前たちは」
「「あっ、すみませ~ん!!」」
口ではこう言っていたけど、ホントはこの時からずっと、彼のことばっかり考えちゃって。
でも、私はまだ昔の恋に、一種のプライドのようなものを持っていた。新しい恋もいいかもって思う一方で、そんな簡単に次に行けるほど、軽い恋じゃなかったって、そう自己満足していたんだ。
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