*小さな恋*

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阿部とは、たまにメールした。 まれに全く絵文字無しのメールがくることもあったが、特に気にしないようにした。 ある時…。 テスト順位が発表された。 「…204人中、78位。」 まあまあかな。 みんなはどうだったのかなぁ。 キーンコーンカーンコーン 「海。どうだった?」 「ん―、微妙だなぁ。美輝は?」 「78位だよ」 「ぅえっ、ちょっと負けたぁ。」 「あは、しょうがないじゃん。今までマレーシアにいたんだから。ね、廊下行こう………あっ、」 海と廊下に出ると、琴を見つける。 「琴~っ!何位だった!?」 「………えへ。えへへへ……」 あきらかにどんよりオーラの琴。 「美輝は?何桁?」 「え?ギリギリ、二桁…」 「はぁあ~~っ、天才!!」 「…………。」 なんとなく順位は聞かない方がいいと判断したため、別れをつげる。 海と教室に戻り、周りの子と順位を教えっこした。 かったるい授業を終え、武道場へ向かう。 着くと先輩が、 「美輝ちゃーんっ、長谷川ちゃーん、何位だったぁ?」 と 聞いてきた。 頭の良い先輩に教えるのは恥ずかしかったため、断ると、 「部長命令!」 と 語尾にハートをつけたようにニッコリ微笑まれたため、教えざるをえなかった。 「78位でした…」そういうと、先輩は少し驚いた顔を見せた。 その後、 「意外っ!!もっと頭悪そうなのに~~」 …どんだけバカに見えるんだ自分っ!! 軽くショックを受ける。 いつも通りに、厳しい練習を終え、帰宅する。 と、また前方に阿部を見つける。 私は、無意識のうちに 「あ~~べ――っ」 と叫んでいた。 振り返る阿部を見て、はっと我にかえり、焦って話題を探す。 「ぁ…えっとっ…、」 ……あ。そーだ。
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