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…重いっ…!!
裸足で行った体験で足は痛み、重い木刀や竹刀を振った手は痛みで、その日の夜はぐったりだった。
でも、心の中では、わかってた。
剣道というものに、引かれている。
何かを感じた。
武道場に通いたい。
あの先輩方に教わりたい。
そんな気持ちが溢れていた。
―決心した。
「私 剣道部入る!」
その言葉を、すんなり受け止めた実久や琴とは裏腹に、母はもの凄い驚きを見せた。が、
私が二日間の体験で感じたこと、決心したことなどを一生懸命話すと、
「やってみな。」
と受け入れてくれた。
初めのうちは先輩の稽古や試合の見学が主だったが、しばらくすると自分たちもきちんと練習に参加するようになった。
練習は思わぬ程にハードだった。
だが、私はそれにやりがいを感じていた。
入部から1ヶ月経った頃、ようやく部員の顔と名前が一致するようになった。
先輩が八人、一年生が13人という少ない人数の中、把握するのが遅すぎたようだが…
女子は五人、全員初心者だが、男子には小学校から習っていた経験者が八人のうち四人いた。
その中でも飛び抜けて強く、試合で一番強い先輩に勝つような実力を持っていたのが、
―阿部弘介。
背もまあまあ高く、その実力とキリッとした顔立ちからは「幕末の美剣士」が連想された。
帰り道が途中まで同じなため、よく一緒に帰ったりした。
結構仲良くなり、ちょっと気になり始めた。
阿部は違う小学校だが…
あと一人を除いた六人は元同じ小学校らしい。
…でもあれ??
あの人だけ、見たことないような…
「ねぇ琴、あの人本当に同じ小学校だった?」
「え?あぁ、七星?メアド持ってるよ。メールすれば?聞いてあげようか」
―七星 光。
背は普通。
顔立ちはシッカリしている。
でも別に、好みのタイプとは全然違う。
…けど、何だか気になった。
多分、初心者なのに剣道が強くなっていってるからだろうな…
「うん。メールしてみる。お願いね」
その日に、琴に七星のアドレスをもらい、メールしてみた。
毎日たくさんメールした。
そのためか、何日かのメールだけで、すぐに馴染んだ。
絵文字は、ビックリマークしか使わない。
どうして?と聞いてみる。
すると、
顔絵文字の使い方がよくわからない、
と返信がきた。
………可愛いなぁー…。
そう思った。
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