31人が本棚に入れています
本棚に追加
『まあそれは"高いところ"に行ったら詳しく説明してもらえると思うよ。あっちに着いたら私は仕事があってヨウくんの面倒をしばらく見れないけど。ごめんね』
それを聞いてヨウは自然とため息が出た。ルシフェルはずっと「"高いところ"に着いたら分かる」ばかりだ。結局何も分からないままここまで来てしまった。まだ夢の中のような気がした。
ところで、ヨウには預かり知らぬことであったが、"虚無"の中でルシフェルは六枚の翼を広げていた。二枚は巨大で、ルシフェルの前面でヨウを包んでいる。他の四枚はその防護膜の外側にあり、黄金の光を後方に噴射していた。翼からは羽が少しずつ取れ落ち、本体から離れた羽は"虚無"を漂うと程なく消滅していた。
『もうそろそろだよ。………よし、到着!』
弾んだ声。ルシフェルが急停止し、ヨウは慣性に従って思いきり吹っ飛ばされた。その体がまた羽毛に埋もれた直後、錠の開くような音がした。そして、
最初のコメントを投稿しよう!