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二人は並んで階段を登った。階段はゆうに四人は並んで歩けそうな幅があったが、両脇には手すりが無く、うっかり落ちたらそのまま雲の下まで行ってしまいそうだった。ヨウも高所が得意な方ではなかったが、何かあったらルシフェルが助けてくれるだろうと思って特に不安は感じなかった。
ちょうど50段ほど登った頃、ヨウは再び階段の先に目をやった。靄がまた50段先にあった。さっき見たときとなんら変わっていない錯覚に陥ったが、後ろを振り返ると既に登った50段がちゃんとあった。
「これほんとに何段あるんだ?」
一段一段ペースよく登りながらヨウは尋ねた。
「実はそんなに無いよ。あと100段くらいかな。あの靄はねえ、必ず50段先にかかるようになってるんだ」
ルシフェルが苦笑しながら答える。
「なんでだ?」
「この仕掛けを作った天使曰く、
『こういうのってカッコいいでしょ?』
だそうだよ」
「なんだ、ただの厨二病か」
ヨウは失笑する。ルシフェルも困ったように笑った。
「私たちはネットばかりしてるからさ。影響されてるんだよ」
「……はぁ? ネット?」
ヨウの足が思わず止まった。
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