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「ネットって、あのネットか? インターネットか?」
驚いたヨウは繰り返し聞き返した。それを見てルシフェルは笑う。
「そう、そのネット。私たち天使はものすごく暇なんだよ。半永久的な寿命はあるのに仕事が無いから、ネットくらいしか楽しみが無いんだ」
「仕事が無い? 天使は天使の仕事があるだろ。人助けとか」
ヨウが突っ込むと、ルシフェルは少し困ったような表情になった。
「私たちが人助けすることは、まったくと言っていいほど無いんだよ。『人事不介入の原則』って言って、天使は滅多なことじゃ人間の世界に手出ししちゃいけないんだ。"虚無"が遠くなって行き来しづらくなったのもある。
人助けが出来ないとなると、私たちは本当に仕事が無いんだ。生きてるのが嫌になるくらい暇なんだよ、天使ってのは」
そこでルシフェルは珍しくため息をつく。
「だから私たちは、ネットやアニメくらいしか楽しみが無いのさ」
ルシフェルの話に、ヨウは返す言葉が無かった。あまりにも意外な話だった。天使がそんなどうしようもないニートみたいな者の集まりだったとは、と彼は頭を抱えた。
「本当は私たちだって働きたいんだけどねー」
ヨウは天使=ニートから天使=フリーターに認識を改めた。
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